2026年6月28日「京都モデル戦略~世界と考える再犯防止~」(法務省、国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)(通称:アジ研)主催、フォーラム・オアシス共催)に参加してきました。
国立京都国際会議場で開催され、13時に森本宏・法務事務次官の開会挨拶で始まった会議は、まず、UNAFEIの山内由光所長から、昨年12月の国連総会において採択された「再犯防止に関する国連モデル戦略ー京都モデル戦略」(6基本原則ー18モデル戦略ー72パラグラフ)の概要について、ご紹介がありました。
< 京都モデル戦略の日本語仮約については、こちらから >
また、前・ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使の引原毅氏からは、世界各国の刑事司法事情が大きく異なる中で、日本が策定を主導した、この国連準則案の内容について、各国間の合意を取りまとめるまでのご苦労話などが披露され、日本の再犯防止に向けたさまざまな取組みや経験を世界に発信し、また各国からの反応を受け止めながら、これを国連準則として世界で共有していくという信念と使命感溢れるお話があり、感銘を受けました。
その後、前半のパネルディスカッションで、京都モデル戦略に沿った国際社会の取組として、菅野直樹・UNAFEI次長の手際のいい司会進行の下、以下の4名のパネリストの皆さんからのプレゼンテーションが行われました。
・デルフィン・シャンツ氏:UNODC(国連薬物・犯罪事務所)東南アジア・大洋州地域事務所長
・ダグラス・デュラン・チャバリア氏:国連ラテンアメリカ犯罪防止研修所所長
・ピーター・ジャーマン氏:刑法改革・刑事司法政策センター所長
・ピセ・サーアーディエン氏:タイ法務研修所所長
4氏からは、昨年12月の国連総会で採択された「京都モデル戦略」の意義や、それぞれの組織や所在国の再犯防止に向けた取組みについて、報告されました。
中でも、サーアーディエン氏のタイにおける再犯防止の取り組みのご紹介では、「Restart Academy」における地域の資源を活用した職業訓練や社会復帰の様子がビデオで紹介され、その生き生きとした取り組みの様子はとても印象的でした。
続く第2部では、京都モデル戦略に沿った、日本の取り組み状況の紹介がありました。
パネリストとしては、まず法務省矯正局審議官の山本宏一氏から、昨年6月に施行された刑法の一部改正により導入された拘禁刑制度の下で、京都モデル戦略でも謳われている、施設内処遇の改革に向けて、現在、全国の矯正施設(刑務所)で積極的に取り組まれている受刑者の特性に応じた改善更生、立ち直り支援のための個別処遇の取り組みのご紹介があったほか、熊本刑務所での実践をスーパーバイズして頂いている熊本大学の矢原隆行氏との対談を設定され、受刑者処遇にとどまらず、刑務官など職員間での対話と意思疎通の改善、さらにはその取り組みが地域の学校や被害者団体なども巻き込んで広がっている様子が生き生きと紹介されました。海外からの参加者も興味深く熱心に聞いておられました。
続いて、石川祐介・法務省矯正局更生保護振興課長から、具体的な取り組みの概要の説明に続き、そのご紹介に沿って、荒木浩子・更生保護法人西本願寺白光荘施設長からその取り組みの発表、さらに滋賀県健康医療福祉部の佐藤雅明課長から、滋賀県における更生保護、立ち直り支援に向けた福祉行政の立場からの取り組みのご説明と、それとも関連させながら、同県の彦根保護区保護司会・平田敦之会長から、罪を犯した人の立ち直り支援に当たっては、決して支援する側・される側を作らない、お互いに地域で暮らす仲間として互いに支え合う地域を作ることを目指すというお話をされました。これは罪を犯した人の更生保護という特別なことではなく、まさに地域福祉そのものだということを示して頂き、深い感銘を受けました。京都モデル戦略でも、日本のhogoshi(保護司)や協力雇用事業主など、さまざまな地域資源、ボランティアを巻き込んだ支援の重要性が認識され、内容の大きな柱になっていますが、今回の海外からの参加者の皆さんにも、こうした活動の底力を十分にお伝え頂いたのではないか、と思います。
まだまだ再犯防止法により努力義務とされた地方自治体の再犯防止計画を策定済みの自治体は全国の6割にとどまり、依然として、再犯防止、罪を犯した人の立ち直り支援、地域への再統合は国の仕事という意識が払拭できていない自治体もありますが、今回発表のあった滋賀県のように、知事が先頭に立って、この課題を地域の福祉課題、地域作りそのものだという意識が全国の自治体に広がっていくことを望んでやみません。
