2026年8月29日(土)に、第3回Podcast「社会保障の仕組みと、これからー」(3/3)を配信しました。
熊本の救護施設真和館創立20周年の記念講演の内容を3分割して配信する第3回で、最終回になります。 今回は、日本の社会福祉制度の展開について、基本的な動向をまずお話ししています。日本の社会福祉制度は、日本国憲法に基づき、すべての人に健康で文化的な最低生活を保障する生活保護制度から出発し、その支援を必要としやすい人たちのカテゴリー毎に福祉法が順次制定され、それにより専門的支援と処遇水準の向上が進められてきました。すなわち、児童福祉法(1947年)、身体障害者福祉法(1949年)、精神薄弱者福祉法(1960年、現在は知的障害者福祉法と改称)、老人福祉法(1963年)といった具合です。しかし、こうした対象者別の縦割りの入所施設に偏った福祉サービスは、近年では、総合化、普遍化、施設から地域へ、本人の自己決定、選択の重視という新たな流れが生まれてきました。その大きな転換の契機になったのが、介護保険法(1997年)で、これにより福祉サービスも「措置から契約へ」と大きく転換しました。
また、こうしたパラダイムの転換に伴い、認知症高齢者を始め、福祉制度利用の基礎となる契約を締結する判断能力が不十分な人が困らないよう、明治時代以来の民法の行為能力制度が1999年に抜本的に改正され、新しい成年後見制度が介護保険法の施行に合わせて2000年4月から施行されました。この制度は、さらに2026年に「代理・代行から意思決定支援へ」という国際的な潮流の下で、制度創設以来の大きな改革が行われています。
さらに、戦前から社会福祉の対象から除かれ、刑事司法の領域に委ねられてきた、罪を犯した人の立ち直り支援である更生保護について、再犯防止や福祉的支援に向けて、各都道府県に地域生活定着支援センターが設けられて、矯正施設入所中から退所後の地域での福祉的支援に向けた連携が進められています。さらに矯正施設での処遇自体についても、刑法が改正されて、受刑者の改善更生、社会復帰支援、個別処遇の実施など、新たな取り組みが始まり、地域福祉との連携の強化が強く求められるようになってきています。
こうした長年にわたり法務省と厚生労働省に分かれて連携が欠けていた、民事法・刑事法の領域と福祉の世界の相互連携、協働という新たな重要な動向について、まとめてお話ししています。 関連の図や表は、下記のリンクから入手できますので、できればそちらも見ながら理解を深めて頂ければと思います。
これで記念講演の3回に分けた配信を終わり、9月からは、椋野美智子さんとの共著『はじめての社会保障』第23版(2026年)をベースに、扱う内容に応じて日本やドイツにおけるトピックスなども織り交ぜながら、半年間、26回にわたって配信に挑戦する予定です。
