厚生(労働)省で行政官として多くの重要な社会保障政策や立法・運営作業に携わられ、退官後は大阪大学大学院等で教育研究に従事してこられた堤修三氏。昭和40年代以降に同省に入省した行政官の中でも、その緻密な理論構築力や現実的な実務能力、そしてその基礎にある深い思想性において、私がもっとも尊敬する方の一人です。
その時々の社会保障や公共政策に関して数多く発表された論考や評論は、昔のバックナンバーを探して読み返すことが困難です。そこで、このアーカイブでは、氏の略歴や主要著書のご紹介に併せて、月刊介護保険情報誌(社会保険研究所)に2004年から12年まで、100回ほど掲載された論考「パンセ~社会保障を考える」を小冊子にまとめられたものを3部に分割してPDFで掲載させて頂きました。
社会保障や社会保険の基本的な法的枠組みや理論が、毎年の予算の辻褄合わせや負担の議論をひたすら避ける政治のご都合主義によって、どんどん歪められ、複雑化し、劣化の一途を辿る現在、今一度、氏の考察の跡を辿りながら、これからのあるべき姿をご一緒に考えていければと願います。