2024年10月17日に、医療介護福祉政策フォーラム(虎ノ門フォーラム)の第117回月例社会保障研究会に呼んで頂き、「ドイツ社会保障制度における<家族>の位置づけと評価」と題して、講演しました。その際の<パワーポイント資料>を掲載します。
この主題は、じつは社会保障の各制度の基本骨格に関わる重要な問題ですが、世界観や家族観にも関わる扱いの難しい問題でもあり、日本ではなかなか正面から議論される機会がありません。ドイツでは、基本法(憲法)に人間の尊厳(1条)、家族の保護(6条)、平等原則(3条)、社会国家原則(20条)などの規定があり、また、普通裁判所とは別の憲法裁判所制度があり、ここが家族の位置づけに関わる社会保障制度や税制に関して重要な違憲判断を示すことがあり、主要2大政党間の政権交代も交えて、判決や決定を契機に立法対応が図られてきました。
この制度変更は、とりわけ育児手当/育児休業や、児童手当と税の扶養控除のあり方を巡って大きな枠組みのパラダイム・シフトを経験して練度を高めてきました。
日本では、先の岸田政権下で「少子化対策、子育て支援の強化」が図られてきましたが、きちんとした財源の手当も示されず、また、児童手当と税の扶養控除の理念や機能の相違、給付総額と扶養控除の圧縮による増税額などの基本的なデータも、私の知る限り示されませんでした。こうした論点について、ドイツでは政党間で積極的な政策提案と明示的な政策論争、制度改革が進められてきましたので、今回は、そうした論点を中心に、日本での参考となるよう、ドイツでの議論を紹介しました。関心のある方は、ご覧になってみてください。