比較社会保障研究室(コータローの社会保障塾)
Comparative Studies on Social Security Systems (CSonScubed)

2025年11月23日第21回在宅医療推進フォーラムに参加してきました


2025年11月23日(祝)今年も東京ビッグサイトで開催された在宅医療推進フォーラムに参加してきました。このフォーラムは、在宅医療助成勇美記念財団と、国立長寿医療研究センターの共催、日本在宅ケアアライアンスの共催で開催され、早いもので今年で第21回を数えるまでになりました。
私は25年前の財団設立当初の時期に縁あって少しお手伝いさせて頂いただけですが、関係者のご尽力によってこの間の在宅医療をめぐる発展には、目を見張るものがあります。

今回のフォーラムは、「2040年へ 在宅医療は暮らしと地域をどう支える」というテーマで、午前中はブロックフォーラムとして、北海道から沖縄まで、全国15地域で開催されたフォーラムのご紹介と、その中から選ばれた北海道札幌、新潟、岡山(中国ブロック)、沖縄の4地域の発表と質疑応答が行われました。いずれも素晴らしい実践報告でしたが、私は、とりわけ北海道札幌の小児科医・川村健太郎氏が医療的ケア児を地域の人たちに知ってもらおうと、成人在宅医や学生など、多くの人たちと協力して、イオンモールで(!)、スタンプラリー形式で、写真展、中高生による発表、絵本朗読、医療的ケア児によるフラダンス披露など、参加した人たちに「楽しんでもらおう」というコンセプトで実践された様子にとりわけ感銘を受けました。

午後の部では、「在宅医療 新たなミッション 〜治し、支える医療から、次の課題へ〜」というテーマで、日本在宅ケアアライアンスの新田國夫理事長からの問題提起に続き、厚生労働省医務技監の迫井正深氏から基調講演が行われました。当初は「2040年を見据えた在宅医療に向けて」という政策に関するご講演が予定されていたのですが、ほかの発表者の皆さんの熱い思いに触発されて、との前置きで、ご本人が1人の家族として、父親の在宅での介護や看取りに関わっての詳細な経緯と、それを通じて改めて感じた在宅医療や介護への視点や気付きを率直に語ってくださいました。私自身が7年前に自宅で母を看取った当時のさまざまな思い、大変さ、感謝の気持ちなどを思い出しながら、強く共感しつつ聴き入りました。

続いて、「多世代から在宅医療へのおもいを語るセッション」として医学部在学生や若い世代の在宅医療やケアに関わろうとしている、あるいはすでに関わっている4名の発表が行われました。若い世代にどう関わりを広げ深めて貰うかは、分野を問わず大事な課題ですが、いずれの発表からも大いに元気を頂きました。

そして最後のシンポジウムでは「めざすのは笑顔とつながり」のテーマの下、独立した作業療法士、2つの自治体職員、県医師会理事、そして離島医療を経験されて今は厚生労働省の医系技官の5名の登壇者から、それぞれに素晴らしい実践の報告があり、多くの気付きをいただきました。とりわけ医政局課長補佐の長嶺由以子氏が迫井氏に負けじと(笑)、用意されていた政策の説明を捨てて、ご自身が研修後直ぐに沖縄の離島医療に派遣され、ただ1人の医師として赴任しての奮闘と実践からの気付きについて報告された内容には、若いシャープな感性と知性が感じられ、素晴らしかったです。

今回は、実践現場からの多くのご報告から、改めて現在の在宅医療・ケアに関わる方たちの活躍や工夫、ダイナミズムが感じられて、丸1日の密度の濃いフォーラムでしたが、会場で直接にお話を伺うことができ、改めて多くの元気と希望を受け取らせていただきました。

とりわけ、厚生労働省の医系技官お二人が、用意した原稿を捨てて、それぞれの個人的に経験された家族の立場や在宅医療の実践の中から深い内容を率直に吐露してくださったことには、深い感銘を受けました。私自身は、最近の厚生労働省の医療を含む社会保障政策には、環境の変化は承知しつつも、ガッカリすることが多かった中で、こうした現場の実践を大切にし、その中から政策の方向性を考えようとする熱い思いとシャープな知性を持ち合わせた医系技官を発見できたことは、これからの医療政策にわずかながら明るい光を見出した気持ちで、嬉しい気持ちで帰途につきました。

このフォーラムの様子は、少し経ったら、勇美記念財団のHP
https://www.yuumi.or.jp/
にアップされると思いますし、今回の発表者の提出レジュメを掲載した資料も若干は余部もあるかと思いますので、ご関心の方は、財団にお問い合わせ頂ければと思います。


“2025年11月23日第21回在宅医療推進フォーラムに参加してきました” への1件のフィードバック

  1. きのう、吉武さんにあったら、「耕太郎さん、堤さん、と3人であうんだ」と楽しそうでした。堤さんは、阪大の私の後任。堤さんにお願いしようとともってのは「物語・介護保険」に紹介した堤さんの以下の言葉でした。(略)「どうしたら一番よいか、自分のアタマでまず、よくよく考えること。答えを見つけてから、念のため前例を調べること。最初から前例を調べては駄目だ」
    堤さんの後ろ楯があって、前例のない身体拘束禁止の運営基準が介護保険制度に盛り込まれ
    ることになったのでした。
    このとき、堤審議官が思い浮かべた悪しき前例は精神病院でした。
    患者の行動制限には法律で歯止めがかけられている。ただ、原則と例外が次第に入れ代わっ
    てしまう、そんな規定だったのです。

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