比較社会保障研究室(コータローの社会保障塾)
Comparative Studies on Social Security Systems (CSonScubed)

2026年4月3日に「2025年のドイツ年金改革と今後の年金政策の見通しー公的年金の水準低下の防止と保険料負担の上限とのバランスを中心に」をHPに掲載しました


2026年4月3日に「2025年のドイツ年金改革と今後の年金政策の見通しー公的年金の水準低下の防止と保険料負担の上限とのバランスを中心に」をHPに掲載しました。
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今回の論文は、昨年発足したメルツ首相の保守キリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の連立政権下で12月に成立した年金改革の内容と、その連邦議会での採決過程で明らかとなった保守の一部の若手議員の造反劇などの分析を通じて、今後の重要な年金改革の方向性について考察しました。
この法律により、2018年の年金改革法によって導入された、2025年7月改定までの年金水準保護条項がさらに2031年7月改定まで6年間延長されました。これらの特別規定は、東西ドイツ統一後、20年近く続いた旧東独領の再建のための巨額の財政負担などに伴う厳しい財政状況や低迷が続く経済の中で、急速に進む少子高齢化に対応するために導入されてきた各種の措置により賃金スライドの引上げ率が抑制されてきた結果、低下が続いてきた公的年金の水準を法律により底上げするものです。今回は、2018年から25年まで、特例規定により保障してきた水準保障の措置を、さらに2031年まで延長し、これにより必要な財源を連邦一般財源から補填するという内容です。
もう一つの改正の柱は、1992年前に出生した子に対し、現在は2年半(30か月)まで拡大されてきた育児期間の年金算入規定を、同年以降に生まれた子と同じく3年間まで拡大する母親年金の改正です。この内容については、すでに、別途、2月17日の投稿でご紹介した拙稿
「育児期間の年金算入制度の理念、内容およびその展開」
で詳細に論じていますので、今回は簡単に概要を述べるに止めています。
日本でも、2004年年金改正で導入され、すでに20年以上が経過したマクロ経済スライドによる基礎年金および厚生年金のスライド率の抑制の結果、公的年金の水準が低下し、その見直しが大きな課題になっています。しかし、すでに到達している厚生年金保険料率の上限18.3%、あるいは国民年金の上限16,900円(2004年価格)の現在の年金水準とのバランスが妥当かどうか、といった、大きな枠組みでの見直しの議論はまったく進んでいません。政治環境や制度の枠組みの違いといったものを超えて、問題を正面から受け止めて政治が格闘しているドイツの状況から、何らかの示唆や刺激を得て頂ければと願います。


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