比較社会保障研究室(コータローの社会保障塾)
Comparative Studies on Social Security Systems (CSonScubed)

2025年12月1日に「ドイツの病院再編と診療報酬制度の大胆な転換」の論文を掲載しました


2025年12月1日に私の論文「ドイツの病院再編と診療報酬制度の大胆な転換ー2024年の病院医療改善法のインパクトと今後の展望−」を掲載しました。

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私は今年の夏からこのテーマの解明に本格的に取り組み始めましたが、大きな改革のため資料の渉猟と読み込みに時間がかかっていました。その間、来春に向けた『はじめての社会保障第23版(仮)』の改訂作業が入ったためいったん中断していましたが、ようやく取りまとめが終わり、本日掲載に至りました。

2021年に誕生した社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立政権は、その政党理念と政策の方向性の違いから、どれだけ有効な政策が実現できるか懐疑的な見方もありました。しかし結果的には、コロナ禍の収束に向けた感染症対策、2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻など、緊急の大きな課題に対応しつつ、とりわけ医療政策の面では、すでに2025年4月13日に掲載した論文「ドイツの外来保険診療の特徴とその改革ー2025年医療提供強化法を中心として」で分析した外来保険診療の改革に加えて、これまで改革の必要性が繰り返し叫ばれながらも、歴代の大連立政権も実現できなかった病院再編に向けた大胆な改革を成し遂げました。

その細部はまだこれから明らかになり、段階的に実施に移されていきますが、ドイツの1700あまりのすべての病院が法律で規定されたレベルに位置づけられ、各病院が提供する医療サービスも65にカテゴリー化されたサービス群とそのために求められる物的・人的な最低基準に割り振られ、その提供する診療もこれに対応したものとされることになります。

またこれに対応し、診療報酬支払制度も2003年からの段階的な導入により病院運営に大きな影響力を及ぼしてきたDRG(Diagnosis-Related-Groups:診療群別件数包括払い)が大きく修正され、実際に取り扱った診療件数に関わりなく、人件費やインフラ経費などの固定経費の大半が支払われる「準備状況に応じた診療報酬(Vorhaltevergütung)」が導入されました。

こうしたシステマティックな病院体系の再編とそれを支える診療報酬制度の導入は、ドイツでも初めての挑戦的な改革で、徹底したDRGの導入により大きな変化を遂げてきたドイツの病院政策は大きな転換点を迎えています。今後、これがどのように展開し、病院医療にどのような地殻変動をもたらすか、今後の日本の病院医療改革にとっても、興味深い多くの視点を提供するものだと思います。


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